← 会計係のヒント

領収書がない支出をどう記録するか【そのまま使えるメモの文例】

帳簿・残高2026/8/10

週末の大会。会場のコインパーキングに500円を入れたけれど、精算機からは何も出てきません。行きがけに部員へ配る飲み物を自販機で買った分も、当然レシートはありません。

帰宅して精算しようとして、手が止まります。これは帳簿に書いていいのか。書いたとして、監査で「領収書は?」と聞かれたら何と答えればいいのか。

領収書がない支出は、珍しいことではありません。 大事なのは、あとから説明がつく形で残しておくことです。この記事では、何をどう残せばいいかを書きます。

「領収書がない」には2種類ある

同じ「領収書がない」でも、中身は2つに分かれます。

  • そもそも領収書が出ない支出 … 精算機や自販機など、発行される仕組みがないもの
  • 受け取ったのに手元にない支出 … もらったが失くした、捨ててしまった

先に、自分がどちらなのかを決めてください。前者は焦る必要がまったくありませんが、後者はまず探すところから始まります。ここを混ぜたまま悩むと、必要のない後ろめたさを抱えることになります。

そもそも領収書が出ない支出

次のようなものは、領収書が出ないのが普通です。

  • 精算機や券売機で払った駐車料金
  • 自動販売機で買った飲み物
  • 電車やバスの運賃
  • お祝いやお香典
  • 個人から譲ってもらった中古の道具
  • 何人かで割り勘にして払った分
  • 審判や外部コーチへのお礼

もらいそびれたのではなく、発行される仕組みがそもそもありません。ですから「領収書がない=まずいこと」と身構える必要はありません。

ただし、お礼や慶弔費のように扱いが団体ごとに違うものもあります。金額の目安や、そもそも部費から出してよいかどうかは、団体の規約や前年度の会計係にご確認ください。

領収書の代わりに残す5つ

領収書が果たしている役割は、そのお金が何に使われたかを、あとから他人が確認できることです。同じことが分かる記録があれば、役割は果たせます。

必要なのは次の5つです。

  • 日付
  • 金額
  • 支払先
  • 何のために払ったか
  • 誰が払ったか

これをそのままメモにします。

支払いのメモ(領収書なし) 日付:2026年8月2日 金額:500円 支払先:市民体育館 駐車場(精算機) 目的:夏季大会の会場駐車料金 支払った人:会計 中村 精算機のため、領収書は発行されませんでした。 大会要項の写しを添えます。

紙でもスマホのメモでも構いません。大事なのは、払った本人以外が読んで分かることです。半年後の自分も他人だと思って書いてください。

あわせて、状況が分かるものを1つ添えておくと説明がぐっと楽になります。

  • 大会要項や案内(会場と日付が分かる)
  • 乗換案内の検索結果の画面(運賃が分かる)
  • 精算機や料金看板の写真
  • 買ったものの写真

証拠を作るためではなく、思い出す手がかりのためです。1つあるだけで、あとの手間がまるで違います。

もらったのに手元にないとき

こちらは、メモを残す前にやることがあります。

  1. 店に再発行を頼む。レジの控えが残っていれば出してもらえることがあります
  2. カードや電子マネーで払ったなら、利用明細を残す
  3. 振込なら、通帳やネットバンキングの記録を残す

明細は領収書そのものではありませんが、日付・金額・支払先は分かります。多くの場面ではこれで足ります。

それでも見つからないときは、さきほどと同じメモを残します。ただし1つだけ違うのは、「領収書を紛失しました」と正直に書くことです。

「もらえませんでした」と書いてしまうと事実と違います。細かいようですが、あとから店の控えが出てきたときに話が食い違い、かえって面倒になります。

「領収書がないから自分で払っておく」はやめる

ここがこの記事でいちばん伝えたいことです。

領収書のない500円を帳簿に書くのが気まずくて、自分の財布から出したことにして、記録ごと無かったことにする。よくある話です。金額が小さいほど、そうなりがちです。

気持ちは分かります。ですが、これをやるとその支出は帳簿から消えます。

消えると何が起きるか。来年の予算が、実態と合わなくなります。

大会のたびに駐車場代がかかっているのに、帳簿の上では0円です。次の会計係は「駐車場代はかからない」という前提で予算を組み、同じ場面で同じように自腹を切ります。そして誰も、それが毎年くり返されていることに気づきません。

金額の大小の問題ではなく、記録が続いているかどうかの問題です。帳簿に載っていれば「この費目は毎年かかる」と分かり、来年は最初から予算に入ります。会計係が1年で交代するからこそ、ここが効いてきます。

どうしても自分で負担したい場面もあると思います。その場合も、活動にいくらかかっているかが分かる形で帳簿に残しておくほうが、次の人は助かります。具体的な書き方は、団体の規約や監査の方にご確認ください。

監査で聞かれたときに何を見せるか

監査は、不正を探す場ではありません。お金の動きに説明がつくかを確かめる場です。

実際に聞かれるのは「領収書はありますか」よりも、「これは何ですか」です。メモが1枚あれば、それがそのまま答えになります。無ければ記憶で答えることになりますが、半年前の500円は思い出せません。

領収書のない支出は、1か所にまとめておいてください。監査の当日に探し始めるのがいちばんつらいので、その都度ためていく形にします。

なお、領収書のない支出をどこまで認めるかは団体によって違います。金額の上限や、事前の承認が必要かどうかは、規約や監査の方にご確認ください。

次からためないために

  • 払ったその場でスマホで撮る。精算機の画面でも、料金の看板でも構いません
  • 財布に封筒を1つ入れておく。出たレシートはとりあえずそこへ
  • その日のうちに記録する。翌日にはもう思い出せません

いちばん効くのは1つ目です。レシートが出ない支払いこそ、その場で撮っておく。 あとから「駐車場代いくらだったっけ」と考える時間がまるごと消えます。

記録しそこねた支出は、月末に現金と帳簿を突き合わせたときのズレとして表に出ます(帳簿と現金が合わないときの原因の探し方)。その場で撮って記録しておけば、探す手間もかかりません。

そして、撮った写真と記録が同じ場所にまとまっていれば、監査の前に集める作業そのものが要らなくなります。領収書のある支出も無い支出も、まとめて一覧で出せる状態にしておくのがいちばん楽です。