部活の会計監査を頼まれたら何を見ればいいか【見るのは3つだけ】
年度末・引き継ぎ ・ 2026/8/11
総会で「今年の監査をお願いします」と言われて、引き受けたものの——何をすればいいのか、誰も教えてくれません。前の監査担当に聞いても「私も見よう見まねで」と返ってくる。
会計係は同じ保護者仲間で、来年も顔を合わせます。細かく突っ込めば疑っているように見えるし、かといって何も見ずに署名するのも、自分の名前が残ると思うと落ち着きません。
この記事では、監査担当が何を見ればいいかを書きます。結論から言うと、見るのは3つだけです。
監査は、不正を探す仕事ではない
先に、いちばん大事な前提を置きます。
監査は、会計係を疑うための制度ではありません。お金の動きに説明がつくかどうかを、当事者以外の目で確かめるのが役割です。
そしてこれは、会計係を守る制度でもあります。第三者が確認したという事実が残っていれば、あとから「あのお金は何だったのか」と言われたときに、会計係が一人で矢面に立たずに済みます。
ですから、身構える必要はありません。あなたの仕事は粗探しではなく、「確かに見ました」と言える状態を作ることです。
見るのは3つだけ
| 見るもの | やり方 | よくあること |
|---|---|---|
| 残高 | 帳簿の残高と、実際の現金・通帳を突き合わせる | 少額のズレは記録もれが原因 |
| 支出の裏づけ | 領収書があるか。無いものは説明を聞く | メモが残っていれば足りることが多い |
| 報告書 | 報告書の数字が帳簿と一致しているか | 数字の写し間違いがいちばん多い |
この3つが確認できていれば、監査としては成立しています。
逆に、費目の分け方が適切かどうかや、その買い物が必要だったかどうかは、監査ではなく総会で話すことです。団体によっては監査の範囲に含めていることもあるので、規約や前年度の進め方をご確認ください。
「全部を1枚ずつ見る」をやらない
ここがこの記事でいちばん伝えたいことです。
真面目な監査担当ほど、1年分のレシートを1枚ずつ帳簿と突き合わせようとします。誠実な態度ですが、これはおすすめしません。
理由は2つあります。
ひとつは、単純に終わらないこと。300枚のレシートを1枚ずつ照合すれば半日仕事になり、次の年に引き受け手がいなくなります。
もうひとつは、見落とすことです。1枚ずつ確認する作業は、途中から手が動いているだけの作業になります。そして問題があるとすれば、それは並んでいる紙の中ではなく、紙が無いところにあります。
監査で効くのは、次の3つです。
- 領収書のない支出を先に集める。 そこだけ説明を聞けば、確認すべき点はほぼ尽きます
- 金額の大きい順に、上から10件を見る。 金額が大きいものほど、間違いの影響も大きい
- 現金が大きく動いた月を選んで見る。 合宿や大会のあった月です
全部を見るより早く、そして深く分かります。
当日の進め方
1. 事前に資料をそろえてもらう
当日に探し始めると、それだけで1時間が消えます。前もって次のものを頼んでおきます。
- 帳簿(1年分)
- 領収書(月ごとにまとまっていると助かります)
- 決算報告書
- 通帳と現金
- 領収書のない支出の一覧
最後のひとつを事前に出してもらうと、当日の進みがまるで違います。
2. 残高を一緒に数える
現金を二人で数え、通帳の残高を確認し、帳簿の残高と一致するかを見ます。ここが合っていれば、大きな見落としはほぼありません。
3. 領収書のない支出を確認する
一覧を見ながら、1件ずつ聞きます。聞き方に少しだけ気をつけてください。
「なぜ領収書がないんですか」ではなく、**「これはどんな支出でしたか」**と聞きます。答える内容は同じでも、前者は責める形、後者は事実を聞く形になります。場の空気がまるで違います。
そもそも領収書が出ない支払い(精算機の駐車料金、自動販売機、交通費など)は普通にあります。メモや状況の説明が残っていれば足りることが多いです(領収書がない支出をどう記録するか)。
4. 報告書の数字を突き合わせる
決算報告書の各行が、帳簿の集計と一致しているかを見ます。いちばん多いのは数字の写し間違いです。 特に、前年度からのくりこしと次年度へのくりこしを確認してください。
5. 確認したことを紙に残す
最後に、何を確認したかを書いて署名します。
会計監査報告 令和8年度 みどり小サッカー部の会計について、下記のとおり監査を行いました。 監査日:2027年3月28日 確認したこと ・帳簿の残高と、現金および通帳の残高が一致していることを確認しました ・領収書のない支出について、内容の説明を受けました ・収支決算報告書の数字が、帳簿と一致していることを確認しました 以上のとおり、確認いたしました。 監査担当 ○○ ○○
この紙が、監査のいちばんの成果物です。 何を確認したかが具体的に書いてあると、総会で質問が出たときにも答えられます。「監査しました」の1行より、はるかに強い。
なお、報告の文言は団体ごとに決まった形があることがあります。前年度の資料や規約をご確認ください。
何か見つかったときは、その場で結論を出さない
残高が合わない。裏づけのない支出がある。そういうときの話をします。
その場で問い詰めないでください。 会計係は1年間ほぼ一人でやってきていて、多くの場合は単純な記録もれです。追及される場面になると、人は反射的に身構えます。そうなると、原因を一緒に探せなくなります。
やることは3つです。
- 探す時間を渡す。 その日のうちに決着させようとしない。1週間あれば、たいていは見つかります(帳簿と現金が合わないときの原因の探し方)
- それでも分からなければ、分からないまま書く。 「差額1,000円について確認したが、原因は特定できなかった」と正直に残します。埋めて合わせないこと
- 判断を一人で背負わない。 どう扱うかを決めるのは監査担当ではありません。事実として役員会や総会に上げます
監査担当の仕事は白黒をつけることではなく、分かったことと分からなかったことを、正確に残すことです。
会計係の側の準備
受ける側の方へ。そろえるものは決まっています。
- 帳簿(1年分、費目ごとに集計できる状態)
- 領収書(月ごとにまとめる)
- 領収書のない支出の一覧
- 決算報告書
- 通帳と現金
3つ目を自分から出すのが要点です。隠していないことが最初に伝わるので、あとの確認がすべて軽くなります。
監査が重くなるのは、当日ではなく1年前
最後に。
監査が半日仕事になるか30分で終わるかは、当日の進め方ではほとんど決まりません。1年かけて記録がどう残っているかで決まります。
- 支出に費目が付いていれば、報告書との突き合わせは集計を見るだけで済みます
- 領収書のない支出が最初から分かる形になっていれば、そこだけ見ればよくなります
- 毎月残高を合わせていれば、当日に差額が出ることはまずありません
この状態になっていると、監査は探す作業ではなく、確認する作業になります。そして、次の年も引き受け手が見つかります。監査を軽くしておくことは、来年の誰かを助けることでもあります。